グリッチの定義に関して思ったことメモ。
グリッチとは、主にソフトウェア、ビデオゲーム、画像、映像などのデジタルアーティファクトに発生する誤動作による予期せぬ不具合のことです(¹)。この記事では、Iman Moradi氏によるグリッチの定義を念頭に置き話を進めることにしましょう。(個人的に分かりやすいので)
Iman Moradi氏は論文”Glitch Aesthetics”にて、グリッチを以下の2つのカテゴリーに分類しました。
- pure glitch
故意に引き起こされていない、自然発生的なデジタルの生成物。
美的観点は介入しない。 - glitch-alik
ユーザーによって故意に引き起こされた結果。
この論文で私が気になったのは、「行為が故意であったのか」という制作者の考えにのみ注目している点です。こうした分類は、制作者の思考を除外した場合、意味を成しません。なぜなら、pure glitch・glitch-alikそのどちらも、originalから乖離したルックになることに変わりはないからです。
となると、アートやデザインの文脈で語られる作品全てがglitch-alik、それ以外がpure glitchということにならないでしょうか。彼の定義に従えば、glitch-alikとはすなわち、pure glitchのコレクション的な位置付けのものでしかなく、イメージ的な観点で言えば、pure glitchを模倣したものに過ぎないことになります(²)。
グリッチは、originalの抽象への傾倒でしかない問題
私は作品を制作する上で、「pure glitchをどのように発生させるか」を念頭に置きプロセスの試行錯誤をしています。グリッチさせたmaterialが原型から抽象へと傾倒しただけでなく、なにかしらの形でoriginalと連結させ、副次的に具体性を獲得する具体的な方法を探しているわけです。(経緯はここでは省きます)これからご紹介するのは、その目的にたどり着く為の途中段階の手法と思ってください。
またグリッチアートとその歴史は、フェイク vs リアルという二元的な対立で簡単に処理できることではありません。こうした論理的変遷にこだわると複雑になりすぎるため、このサイトではあくまでpure glitchとglitch-alikの二つに簡略化して述べていきます。専門家の方はグリッチに対するまとめ方が単純すぎると思われるかもしれませんが、どうぞご寛恕ください。
注釈
1. “Glitch”. Wikipedia,October 6 2022, Retrieved November 2022
2. Moradi, Iman. (2004) Glitch AestheticRetrieved November 2022